モントットーネ村から
Da Montottone

vol.16 北朝鮮の人民と酒を飲みたい

2004年12月21日

今回は日本の読者にむけてちょっと書きたくなったので、日本語のみでざっと政治の話を。

北朝鮮への経済制裁を求める声が高まっているようですね。
勧善懲悪、分かり易いことです。北朝鮮の政府は確かに数十年前から悪いことをしてきたのでしょう。
非難するのは当然です。

日本がやはり数十年前の過去の行為をいまだ非難されるように。
人道上の罪は、どんな情況であれ、やはり罪です。いくら年月が過ぎても。

しかしはたから見ていると、日本国民を情報操作して、プロパガンダで染めてしまうのが余りに容易くなっているようで、怖いですね。
「そんなことはないよ、外国にいる君にはわからんのだよ」
そんな反論が聞きたいくらいです。ご批判大歓迎です。
あと一押し、都庁辺りを爆破する北朝鮮出身「らしい」テロ犯でもでたら、
世論は一挙に右傾化し、「アジアの平和のために北朝鮮懲罰だ!」、、なんて恐ろしい空想もまるっきり見当はずれに思えないから怖いですね。
戦争を始めるのは実に、簡単です。ですが、終らせるのが如何に難しいかは、今度のイラクの情況を見ても明らかです。

日本国内に問題があれば、外に敵を求め、ガス抜きをするところなど、 中国の共産党政府にもよく似ている手法じゃないですか。
いろんな国の常とう手段ですね。

「北朝鮮」という「国」に対する制裁が、当然のことですが実は「ごく一般の既に苦しい生活を送っている北朝鮮の人々」に対する「責め苦」であって、「アホウな悪役者」として、おそらく日本人の大部分の頭の中で「北朝鮮」のイメージとなっている金主席個人への直接の制裁ではないことを、みなさんは想像されたことがありますか?

はじめて北朝鮮の人民の飢餓が伝えられた時、日本中が同情をしめしたことをなつかしく思います。
猪木のプロレス外交には笑いもしましたが、今彼はどうしているのでしょう?

今回の戦争前のイラクへの国連制裁、十年間で百万近い死者がでたという話もあります。嘘ではなさそうです。

日本の政治家に言わせれば、間接的に金主席の権力をそぐ遠大な計画があっての経済制裁提案かもしれませんが(あるんでしょうか?)。北朝鮮の民間人がその結果いくらか余計に餓死するかしても、必要条件として計算済みなのかもしれません。
国の計算。
想像力を欠いた計算の恐ろしさです。
国と言う存在が、とてつもなく不気味で、嫌になるのはこんな時です。

経済制裁で、イラクのサダムがどんな責め苦をうけたでしょうか?
苦しんだのは(そこで死んで行ったのは、そして今もまた死んで行くのは)9割以上が普通の庶民です。

感情的な自分の反戦論を批判されると、かっとすることのある私ですが、
感情的な復讐論はもっと恐ろしい気がします。
少なくとも反戦論では、いきなり人は死にません。

北朝鮮はまともな国ではない、そりゃそうかもしれません。
ですがそこに住む人々までもが、みな狂人で、悪人でしょうか?

まとまりのない言葉ですが、今日はこんなことを、
モントットーネの霧の中で考えました。

モントットーネ村より 飯田亮介

P.s. このところ反戦翻訳団 というページにイタリアのピースリポーターという反戦平和団体の記事を翻訳発表しています。見てやって下さい。


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